2013年6月12日水曜日

市場の声:景気良好時の外部要因発のショック安場面は買い場

三菱UFJモルガン・スタンレー証券 投資ストラテジストの三浦誠一氏――今回の日経平均株価の下げのきっかけは、5月23日のバーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言。QE3(量的金融緩和第3弾)の早期終了は否定したが、年内の縮小開始を示唆したことだ。年初から5割近く上昇していた日経平均株価は利益確定の動きに拍車を掛け、海外投資家の売りを交え、円安・株高が巻き戻されている。

 外部要因を発端にしたショック安は過去にもあった。71年のニクソン・ショック、87年のブラック・マンデーだ。当時の国内状況は高度成長期、あるいはバブルへの助走期にあり、いずれも景気は良かった。今回もQE3ショックに対してアベノミクスが受ける形。言い換えれば、景気が良い時、外部要因をきっかけとしたショック安場面は買い場だといえる。

 前日の東証株価指数の騰落レシオ(25日移動平均)は75.08%。売られ過ぎと判断される70%台で推移している。市場平均の予想PERも日経平均株価の上昇の起点となった昨年11月時点の水準まで低下、1万2500円前後以下は売り込みにくい動きが想定される。7月末から8月上旬にかけて3月期決算企業の第1四半期の発表が相次ぐが、企業業績が改善に向かっている点も支援材料。

 ボラティリティの高い相場展開が続く局面では、好決算期待の銘柄の押し目を丹念に見直したい。たとえば、14年3月期の営業利益が過去最高益期待の銘柄(順不同)には、いすゞ、大和ハウス、カルビー、キーエンス、テンプホールディングス、ピジョン、楽天 などがある。株価の下落でPERも低下している。最高益更新期待の銘柄は、逆境相場での下落度合いが相対的に小さい一方で、底打ち時点では「スタートダッシュ」をうまく切れる。