2013年6月12日水曜日

米ゲーム見本市が開幕 ソニー14年にクラウド参入

世界最大規模のゲーム見本市「E3」が11日(日本時間12日未明)、米ロサンゼルスで開幕した。

開幕に先立ちソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は10日、次世代ゲーム機「プレイステーション(PS)4」に動画や音楽も配信すると発表。2014年には「クラウドゲーム」に参入する計画も明らかにした。米マイクロソフト(MS)や新興勢力と技術を競いながら、低迷する家庭用ゲーム機市場のテコ入れを急ぐ。

 SCEが7年ぶりに発売する新型機「PS4」は今年末に日米欧市場に投入し、価格は米国で399ドル(4万円弱)。現行機種の「PS3」発売当初と比べ100ドル低い価格に設定した。ソニーグループの総力を結集してコンテンツを充実。ゲームだけでなく米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントがPS4専門の動画配信サービスを始めるほか、別のグループ会社が割安な音楽配信サービスを提供する。

 また14年から家庭用ゲームを安価に提供するサービスとして期待されるクラウドゲームへ参入する。PS3のゲームをPS4や携帯型「PS Vita」向けに随時配信する計画で、昨年買収した米ゲーム配信会社、ガイカイの技術を使う。サービス料金などは明らかにしていないが、米国の市場動向を見て日本など他地域でも展開する。

 同日、米MSも新型機「XboxOne(エックスボックスワン)」の概要を発表した。価格は499ドルで、現行機種の発売当初よりも100ドル高く設定。詳細は明らかにしていないが、ソニーと同様にクラウドや動画配信なども計画する。ソフトは熱狂的なゲームファンが好む内容を充実。ファン層の裾野拡大を狙うSCEの戦略との違いを鮮明にした。

 任天堂は新型機「WiiU」を昨年発売したため、今回のE3での事業説明会は見送る。クラウド対応などについても明らかにしていない。

 家庭用ゲーム機メーカーの置かれる現状は厳しい。スマートフォン(スマホ)など携帯電話向けの無料ゲームが台頭し、日本だけでも、ゲーム機の市場規模はピークだった07年度から12年度までに4割以上減少した。新型機や新サービスの投入は起死回生の残り少ないチャンスになる。