政府は29日の産業競争力会議で6月にとりまとめる成長戦略の骨子を示した。
(以下引用)
今後3年間を「集中投資促進期間」とし、国の支援や規制緩和で成長分野への民間投資を促す。また、今後5年間を「緊急構造改革期間」と位置付け、業界再編を促したり、転職しやすい環境作りを進めたりし、産業の競争力底上げを図る。
政府は来週、骨子を肉付けした素案を固め、6月14日にも閣議決定する。成長戦略は安倍晋三政権の経済政策アベノミクスの「第三の矢」で市場も注目している。しかし、業界の反発を背景に農業や医療分野での大胆な規制緩和策は骨子から外され、踏み込み不足の内容には競争力会議の民間議員からも反発の声が出ている。
骨子は、企業の再生を図る「産業再興」▽新しい市場をつくる「戦略市場創造」▽海外進出を促す「国際展開戦略」の三つのアクションプランで構成。産業再興では、2017年度末までの5年間を緊急構造改革期間に設定し、過当競争にある業界などの事業再編を促す「産業競争力強化法」の制定を掲げた。
戦略市場創造では、再生医療などの研究・実用化を官民一体で進めるため先端医療研究の司令塔創設を提示。国際展開では、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)など経済連携の加速化を明記した。
政策の進ちょくを確認するため、数値目標と達成年次を示す政策成果指標(KPI)も設定。政府関係者は「言いっぱなしに終わらず、必ず実行する姿勢を示した」(政府関係者)とアピールする。
しかし、成長戦略づくりの中心的な役割をになってきた競争力会議のこれまでの議論が十分反映されたとは言えない内容。民間議員を務める竹中平蔵慶応大教授は、29日の競争力会議終了後、法人税減税や、保険診療と保険外診療の併用を認める「混合診療」などが骨子から外れたことに「明らかに積み残しの課題が大きい」と不満を示した。
骨子は一般医薬品のインターネット販売解禁は盛り込んだものの、厚生労働省などは慎重で、全面解禁実現までの具体的な道筋は見通せない。企業による農地所有の自由化も骨子から落ちた。
竹中教授とともに大胆な規制緩和の必要性を主張してきた民間議員の三木谷浩史・楽天会長兼社長は「まだ、まとまらないんじゃないですか」と不快感を隠さなかった。
(引用元:毎日新聞)