2013年5月17日金曜日

首相、設備投資70兆円目標 成長戦略第2弾を発表

 安倍晋三首相は17日、都内で講演し、6月中旬にまとめる成長戦略の一環として、今後3年間を企業に設備投資を促す集中期間と位置付け、税制・予算措置や規制改革など政策を総動員する考えを示した。 「国内投資を阻害する要因は何であろうが一掃する」と強調。企業の設備投資額を現在より1割増やして70兆円規模に引き上げる目標を打ち出した。  経済外交を強化して原子力発電所や鉄道などを売り込み、2020年の日本企業のインフラ受注額を現在の3倍の30兆円に増やす意向を表明。「時間の許す限り、世界中のどこへでも出かけ、トップセールスを進めたい」と訴えた。 政府の総合科学技術会議(議長・安倍晋三首相)は17日、成長戦略の柱の一つとなる「科学技術イノベーション総合戦略」の原案を公表した。クリーンエネルギーや次世代インフラなど4分野で実現に向けた工程表を示した。2018年に浮体式洋上風力発電を実用化するほか、20年までにインフラの点検・補修ロボット市場で約2000億円を目指す。  総合戦略は月内にまとめる。健康長寿分野の工程表のほか、科学技術政策における同会議の司令塔機能の強化は、関係省庁や与党との間で調整が残っており、今回の原案には盛り込まなかった。  クリーンエネルギーでは、浮体式洋上風力発電のほか、太陽光発電システムの開発を加速し、現在1キロワット時20円台半ばの発電コストを30年に同7円に引き下げる。蓄電池分野で、日本企業が世界市場の5割にあたる10兆円を20年までに獲得することも目標に掲げた。  科学技術イノベーション創出のための環境整備として、現在は20%台にとどまっている女性研究者の割合を16年までに30%に引き上げる。10%に満たない外国人研究者も30年に30%に増やす。  研究開発の環境整備では、同会議が予算を重点的に配分する新たな事業を創設するとともに、独立行政法人が優秀な人材を確保するための人件費制度の弾力化、研究費を次年度に繰り越しやすくすることなどを盛り込んだ。ただ新たな制度づくりでは調整が一部残り、結論を先送りした。