株価水準が割高か割安かをみる代表的な尺度に株価収益率(PER)があり、株価が1株あたり利益の何倍になっているかを示します。PERが高いほど利益の割に株価が高いといえます。企業の事業展開のグローバル化を反映して、先進国では国や市場によるPERの差が小さくなっています。
PERで比べると米国株より15%前後割高だが
今期の予想利益を基に計算したPERを日経平均が1万5138円だった5月17日の終値でみると、東京証券取引所第1部上場銘柄の平均は17.53倍、日経平均採用225銘柄の平均は16.95倍となっています。一方、アメリカの代表的な株価指数であるS&P500採用銘柄の平均は15.02倍となっています。これをみると日本株はアメリカ株より15%前後割高ということになります。
円安が長引くとPERが低下する可能性
しかし、国際的な企業の場合、海外子会社の利益の円換算額などは為替相場次第で大きく変わります。日本企業は利益予想の前提とする為替相場を手堅くみる傾向があり、2014年3月期の為替相場をたとえばトヨタ自動車は1ドル=90円、パナソニックは1ドル=85円としています。そのため、1ドル=100円台といった円安が長引くと、企業の利益が予想を上回り、株価水準が変わらなければPERが低下する可能性が強まります。
日本の株価はすでにそうした要素を織り込んでいるとみることができます。
将来に見込まれる利益の総額も反映
株価は企業の足元の利益だけでなく、将来に見込まれる利益の総額(の現在価値)を反映して変動するとされています。そのため、企業の利益が低迷する不況期には将来の業績回復も見込む分PERが高くなり、逆に好況のピーク時にはPERが低くなる傾向があります。ちなみに、日経平均が3万8915円の最高値をつけた1989年末には、空前のバブル景気のさなかでありながらPERが60倍を超しており、当時の株式市場の狂乱ぶりを裏付けています。