2013年5月30日木曜日

日本株も再び急落


<日本株も再び急落>

円高に拍車をかけたのが、日本株の急落だ。日経平均.N225の下げ幅は700円を超え、4月23日以来となる1万3500円台まで下落。日本株と連動性を高めているドル/円の売り要因となった。TOPIXも1134ポイントまで下落している。

日経平均ボラティリティ指数は23日の48ポイントからは低下したものの、36ポイント台と高止まり。「恐怖指数」と呼ばれ、投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティ・インデックス(VIX指数)もまだ14ポイント台と水準的には低いが、17日の12ポイント台から徐々に下値を切り上げている。

日本株のボラティリティ上昇はパフォーマンスを低下させるため、内外の長期投資家は手を引いており、市場の商いが薄くなる中で、短期筋の先物売買が相場を大きく変動させやすくなっている。「ボラが高く、上下ともに振れやすい中で自己売買部門を含め、オーダーを上値や下値に置いておくことができなくなっている。特に先物の板がぜい弱になっており、値が飛びやすい」(国内証券)という。

市場には「為替水準を1ドル101円とする単回帰モデルで算出すると、TOPIXのフェアバリューは1090―1170ポイントになる。現状はフェアバリューの範囲内であり問題のない水準だ」(東京海上アセットマネジメント投信のシニアファンドマネージャー、久保健一氏)との冷静な声も多いが、相場は不安定化しており、押し目買いも入りにくくなっている。東証1部売買代金は3.3兆円と急落前と比べ細り気味だ。

<金利上昇にぜい弱な日本>

ボラが高いのは円債市場も同じだ。4月4日の日銀の「異次元緩和」導入以降、2カ月近くたつが、投資家はいまだに落ち着きどころを見いだせていない。米債や日本株など外部環境に振らされるなか、乱高下を繰り返している。前日6ベーシスポイント(bp)上昇した10年長期金利は30日、5bp低下した。米緩和縮小観測の強まりで米金利が上昇傾向を強めているが、不安定な円債市場では、一度「火」が付けば、米金利の上昇以上に利回りが急上昇するおそれがある。

ニッセイ基礎研究所のチーフエコノミスト、矢嶋康次氏は、米国に比べ日本は金利上昇に対してぜい弱だと指摘する。「米国はシェールガス革命で経常黒字が定着すれば、国内で米国債を消化できるようになる。軍事費も削減でき、財政赤字の縮小も進むだろう。一方、日本は緩やかな金利上昇であれば吸収できても、急激な金利上昇であれば、地銀などが耐えられなくなる」という。消費税増税だけでなく社会保障改革などを進め、財政再建への道筋を示すことが金利上昇を抑えるために極めて重要だと話している。