株主優待マニアにとって使いきれない優待をどうするかは永遠の課題。
そこで元プロ棋士で株主優待マニアとして全国に名をとどろかす桐谷広人さんに「工夫次第で買取価格に2倍の差がつく」株主優待を上手に売る方法を聞いた!
【極意1】取り扱い商品や価格を知れ
・まずはサイトで買取価格を比較検討
「まず、どの優待が売れるか、売れるならいくらで買い取ってもらえるのかアタリを付けます」と語るのは、優待名人として有名な桐谷広人さん。調べるのに使うのは、金券ショップのWebサイトだ。お気に入りはアクセスチケット、チケットオンライン、ダイヤチケット、ルネッサンスの4店。これらは株主優待の種類と買取価格が、網羅的に掲載されていて便利だと言う。
・Webと実店舗では買取価格が異なる
しかし「サイトの買取価格を鵜呑みにして駅前の金券ショップなどに持っていくと痛い目に遭う」と桐谷さんは警告する。それはWebのほうが高い買取額を提示していることが多いから。
ならばWeb店舗に売ればいいと思うかもしれないが、そうとも限らない。送料や、買取のお金を振り込む際の手数料がかかるので、却って割高になる可能性があるのだ。
・買取価格の尋ね方にコツがあった!
少しでも有利に売りたいなら、実店舗に出向き、事前に買取価格を尋ねるのが鉄則だ。
「金券ショップの買取価格は日々変わります。また、個人的な感想ですが、店員は人を見ている気がするんです。だから臆せず堂々と尋ねる。納得いかなければ、売らないぞという姿勢が大切です」
桐谷さんがすすめる買取価格の聞き方は「○○の、今日の買取価格はいくらですか」というもの。これだと、売り慣れている感じが出ているうえ、気に入らなければ売らないという意思も伝えることができる。気弱な人はお試しを。
【極意2】売る時期を見極めよ
・使用期限が切れる3カ月前までに売れ
当然といえばそうだが、優待の使用期限が近づくと、買取価格が極端に下がるという。
「90日前までがひとつの目安。そこまでは持っていて、使いきれないと思ったら、売ることが多いです」と桐谷さん。
ただこれは全ての優待に当てはまるわけではないと言う。
「1回に○枚までなど使用制限がある優待券は、ショップも在庫がハケづらいらしく、後になるほど買取価格がどんどん下がる。だからマルシェ(7524)、ワタミ(7522)などは優待券が届いたらすぐ、持っていきます」
・交通、レジャー系は休暇直前が狙い目
さらに売る時期によって、買取価格が大きく変動するのが、ANA(9202)、JAL(9201)、JRなどの交通系や、遊園地などのレジャー系優待だ。
「年末年始、GW、お盆の直前が、換金率が高いことが多い」とのこと。自分で使わないなら、狙いすまして売ってみるといいだろう。
【極意3】換金率を優先せよ
・企業のオリジナルより市販デザインがいい手元に似たような優待が集まることもよくある。全て使いきれないなら「換金率が低いものを自分で使い、高いものを金券ショップに持っていくといい」と桐谷さんは言う。
わかりやすいのがQUOカードなどの金券類。券面が企業ロゴやキャラクターなど、企業のオリジナルだと「買取価格が2%程度下がる」。
逆に一般に市販されている券面のほうが高く買い取ってくれるのだという。
ちなみに市販デザインの金券をくれる企業は、リコーリース(8566)、キング(8118)、因幡電機産業(9934)、杉本商事(9932)、船井総合研究所(9757)などがある。
・優待は換金率を比較し高いほうを売りに出す
また、優待でもらう金券を自分で選べる企業がある。バンダイナムコHD(7832)、ぴあ(4337)などだ。バンダイはイタリアントマト食事券かこども商品券が選べる。桐谷さんは、買取率が高い、こども商品券をもらうようにしているという。
また、同じ店、条件で優待券が利用できるのに、発行する会社によって買取率に差が出ているケースもあるという。
たとえばかんなん丸(7585)と大庄(9979)。こちらは大庄のほうが買取率が高い。桐谷さんは「自分ではかんなん丸の優待券を使って、金券ショップには大庄を持っていきます」とのこと。
ほかにも元気寿司(9828)、グルメ杵屋(9850)、JBイレブン(3066)という組み合わせも。JBイレブンは愛知県中心に出店する名証の企業で他2社に比べると知名度が低めだ。そのため優待が使える店や条件はまったく同じなのに買取価格に2倍の差が付いている。
しかし逆に金券ショップで優待券を買う顧客側の立場で考えるなら、JBイレブンのものを安く買い、杵屋や元気寿司で使えばおトクということ。覚えておいて損はない。