2013年9月17日火曜日

9/17いまからでも遅くはない 「含み資産相場」に乗っていけ

 16日の米国株式市場では、NYダウは続伸し、前週末比118.72ドル高の1万5494.78ドルと、8月8日以来約1カ月ぶりの高値でした。NY円相場は4日続伸し、前週末比30銭円高・ドル安の1ドル=99円00〜10銭で取引を終えました。シカゴ日経平均先物12月限(円建て)は1万4480円大証清算値比160円高でした。
 これを受けた17日前場の日経平均は前週末比13.01円高の1万4417.68円でした。
シリアの軍事介入回避とFRBの次期議長候補
 日本が3連休中、2つの大きなポジティブ材料が出ています。このため、米国の長短金利は低下し、投資家は運用リスクを取りやすくなっています。
 まず、米ロ外相が14日、シリアの化学兵器廃棄に向けた枠組みで合意しました。これで、米国によるシリアへの軍事介入が当面回避されることになりました。中東の地政学的なリスクの低下が見込めます。
 次に15日、サマーズ元米財務長官がFRBの次期議長候補を辞退し、オバマ大統領も受け入れました。この結果、サマーズ氏が指名された場合の議会承認をめぐる不透明感や、市場との対話が円滑に進むかどうかの市場の不安が解消されました。
 ただし、もう一人の有力候補のイエレンFRB副議長が段階的な緩和解除を支持しているとみられているため、ドル高・円安がやや進み難くなったことは、日本株にはややネガティブ材料です。
 しかしながら、イエレンFRB議長なら、バーナンキ議長からの政策の継続性というプラス面を考慮すれば、日本株へのプラス効果の方がはるかに大きいと考えます。
 おそらく、17〜18日のFOMCで、市場コンセンサス通り、国債や住宅担保ローン債権(MBS)などの買い入れ額の減額が50億ドル〜100億ドル程度の量的緩和縮小が決まれば、日米金利差の拡大観測を背景に円安・ドル高が進行するでしょう。そして、輸出関連株を中心として日経平均も戻り歩調を強める公算が大きいとみています。

また、各種報道によれば、政府・与党が消費増税による景気腰折れを回避するため9月中に策定する経済対策の素案では、規模は5兆円で、「近い将来に法人税を5~10%軽減」と明記したということです。
 固定資産税を5年間軽減することや、iPS細胞を活用した再生医療など革新的な研究開発支援に予算を重点配分することなども列挙したそうです。この「将来の法人税率引き下げを視野に入れた」5兆円の経済対策も、日本株を強力に下支えする見通しです。

東京五輪銘柄の物色はまだまだ続く

足元の東京株式市場では、1964年以来56年ぶりとなる東京五輪の開催を材料にした物色が活況です。
 競技を行う関連施設やインフラの整備、不動産価格の上昇と、それに伴う含み益の増加、来日する観光客の増加などでメリットを享受するとみられる銘柄群に資金流入が加速しています。
 ど真ん中のセクターはゼネコンですが、隠れ五輪銘柄、出遅れ五輪銘柄を探す動きは今後も続く見通しです。つまり、当面の市場では五輪関連の循環物色が展開される公算が大きいとみておくべきでしょう。
 ところで、ここにきて、株式市場では、(イ)羽田空港から東京都心にかけての鉄道網の整備でメリットを受ける企業群と、(ロ)「東京湾再生官民連携フォーラム」関連で、東京湾岸に含み益の大きい不動産を保有する企業群、への関心が一段と高まっているようです。

鉄道網で注目されているのが、(1)東急多摩川線と京急空港線を直結させるために、JR・東急の蒲田駅と京急蒲田駅の間、約800メートルを地下ルートで結ぶ新線を整備する新空港線「蒲蒲線」構想、(2)東京、川崎、横浜の臨海部への新たな旅客鉄道の整備(東海道貨物支線の貨客併用化)、(3)山手線の品川-田町駅間で新駅設置構想の3つです。
 この関連で派手に値を飛ばしているのが、東急建設(1720)、鉄建建設(1815)、日本冶金工業(5480)などです。
 東急建設の原点は、渋谷や東急多摩田園都市をはじめとする東急沿線の開発事業です。同社は、1990年代後半からは、渋谷マークシティ、QFRONT、セルリアンタワーと渋谷の顔となる物件を相次いで施工。現在は、さらに新たな魅力を開拓するべく、大規模再開発が始まっています。

鉄建建設は1944年の創立以来鉄道工事を得意分野とし、トンネルや橋梁工事などの鉄道土木事業、駅舎、国鉄宿舎などの鉄道建築事業を中心に実績を重ねてきましたた。緻密な鉄道工事のトップランナーとして培った高い技術力をもとに総合建設会社としてのゆるぎない地位を確立しています。
 日本冶金工業の川崎製造所は、京浜工業地帯に位置し、日本を代表する大都市に隣接している生産工場です。東京都と神奈川県の間を流れる多摩川の最下流にあり、多摩川をはさんだ向かい側には羽田空港があります。川崎市では、羽田空港の再拡張・国際化により、国内各地や海外との間で、人やモノ・情報の交流が一層活性化することが期待されるため、再拡張・国際化の効果を京浜臨海部全体の活性化につなげ、羽田空港を核としたまちづくりを進めるため、多摩川両岸をつなぐ羽田連絡道路の整備について、検討を行っています。

「東京湾再生銘柄」にも注目

一方、東京湾再生を官民で考え、共に連携・協働する組織として、今年11月23日「東京湾再生官民連携フォーラム」が設立されます。巨大都市を背後に擁する東京湾の再生に向け、官と民が共に考え、知恵を出し合い、楽しみながら連携・協働するのは画期的で初めての取組みです。
 具体的な活動として、当面は、東京湾のシンボルである「江戸前」(東京湾全体でとれる新鮮な魚介類)の再興に向けた取組や、生き物生息場を再生する取組、東京湾再生への関心を喚起・啓発する「東京湾大感謝祭」の実施等を予定しているということです。
 この関連では、水産荷受け大手で冷蔵倉庫、貸しビルを併営している東都水産(8038)や、水産荷受け大手で築地の取扱金額トップの中央魚類(8030)、その子会社で、鮮魚、冷凍魚などの卸売り、冷蔵倉庫を主体とする水産物の総合流通企業のホウスイ(1352)などが人気化しています。なお、これら銘柄は、倉庫とか、マンションとか、自社ビルなどの不動産・含み資産株としての高い評価も当然あります。
 こうなってくると、東京湾岸に含み益の大きい不動産を保有するウォーターフロント関連銘柄が火柱を上げた、1987年の「ウォータフロント相場」を思い出します。

「含み資産」を理路整然と考えてはダメ

ここで、成り上がりたいあなたは、サルになって、「含み資産相場」に乗らないといけません。正直、どうせ売りもしない、含み益のある資産を評価すること自体、あまり意味はありません。その資産を売却したり、それを担保に資金を調達して、それをもって、業績を向上させる確度が高まった段階になってはじめて、含み資産は生きるのです。普通の知能を持った人間はそう考えます。だから、空売るのでしょう。
 しかし、今のような相場では、そのような理性的な人間的なアプローチでは、「理路整然」と「曲がり」ます。
 サルになって、「オー凄い、含み益が増えそうだ!買いだ、買いだ」と、単純に考えるべきなどです。つまり、「含み資産相場」とは、「サル相場」の典型的な成功例なのです。とにかく、あなたが相場で成り上がりたいのなら、サル相場になったら、人間を捨ててサルになった方が儲かるということを決して忘れてはいけません。
 (引用元:zai)