くりっく365は、ウェブサイトで「前例のない」取引振興策を実施すると宣言しており、その意気込みは、かなりのもの。
店頭FXにおいては、数年前から手数料無料が常識! と言って良いほど浸透していましたが、くりっく365では、2005年のオープン以来これまでずっと、スプレッドとは別に手数料の徴収を行ってきました。
取引所ならではの「安心、透明、信頼」を謳うくりっく365ですが、ここのところ取引量は減少傾向にあったのは事実…。2012年に行われた店頭FXと取引所FXの税制一本化によって、取引所FXに税制面での優遇がなくなったことが、くりっく365の取引量減少を加速させる決定的な要因になったとの見方もあります。
(出所:くりっく365)
上のグラフを見ると、ピーク時からずいぶん急激に減少してしまっているのがわかりますね。
取引所ならではの安心感や信頼感は感じるものの、実際にトレードするとなると、もっとも重視するのは「コスト」という方は多いのではないでしょうか? 昨今、スプレッドを拡大するFX会社も散見されますが、それでも、やはり純粋に「コスト」を重視するなら、手数料があるくりっく365は選びづらい状況でした。
これが、手数料無料化や大幅な減額につながれば…! 10月以降、くりっく365の人気が爆発するかもしれません! ここにきて、取引所FX・くりっく365が大幅巻き返しなるかも!? 注目ですね。
■さっそく手数料無料化を発表したFX会社も!
今回の取引振興策を受けて、さっそく、くりっく365を提供しているいくつかのFX会社がウェブサイト上で、10月1日(火)から、くりっく365の手数料を無料化すると発表しています。
たとえば、取引ツール「はっちゅう君365」が人気のGMOクリック証券(くりっく365)。
参考:GMOクリック証券のウェブサイト
同社は、2010年8月にくりっく365の取り扱いを開始。取引振興策を受けて、「『より安く』取引できる環境をご提供すべく」手数料無料化に踏み切ることにしたそうです。
ほかにも、FXトレーディングシステムズ(くりっく365)の[スタンダードコース]、岡三オンライン証券、カブドットコム証券、大和証券などが相次いで、10月1日(火)から、くりっく365の手数料を無料化すると発表しています。
東京金融取引所のくりっく365取引振興策発表以降、続々と手数料無料化を発表するFX会社が出てきている模様。東京金融取引所が発表したのは、取引振興策であって、実際に手数料をどうするかは、くりっく365を取り扱っているFX会社に一任されているようです。
9月18日(水)現在、くりっく365を取り扱っているFX会社は、以下の18社ですが…今後の動向が気になります!
参考:くりっく365参加18社
■実は業界最狭水準のスプレッド!?
そして、もっと気になるのが、手数料無料化や引き下げが実現する10月1日(火)以降、くりっく365のスプレッドがどうなるかということ。くりっく365のスプレッドは基本的に非公表ですので、実際の取引レートを見て判断するしかないのですが、実は、通貨ペアによっては業界最高水準で提供される可能性もないとは言えないのです。
というのも、くりっく365は、2012年10月から米ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円のクロス円主要3通貨ペアのスプレッドの最小変動幅を0.01円(1銭)から0.005円(0.5銭)に変更。「スプレッドの縮小を目指します」と宣言していました。
最小変動幅変更後、2013年4月に発表された実績値は、以下のとおり。
2013年4月に発表された米ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円のスプレッド実績値
(出所:くりっく365)
2013年4月に発表された実績値(2013年3月1日~29日:取引日)ですので、少し古いデータではありますが…特にユーロ/円、豪ドル/円のスプレッドが0.5銭~というのは、原則固定ではないとはいえ業界最狭水準! 見逃せない数値です。
手数料無料化や引き下げが行われても、このようなスプレッド水準が維持されるのか? 注目したいところです。
くりっく365の税制優遇復活か?
最後にもう1つ、くりっく365に関してチェックしておきたいポイントが税金について。冒頭でもお伝えしたとおり、2012年から税制が変わり、店頭FXと取引所FXの税制は、一本化されました。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
その結果、これまで優遇されていた取引所FXと不利だった店頭FXの税制に違いがなくなったワケです。先に述べたとおり、この税制優遇がなくなったことが、くりっく365の取引量を減少させる要因になったとも言われています。
ところが、2013年8月に金融庁が提出した「2014年税制改正要望」のなかに、「取引所FXの税制優遇を復活させる」と読み取れる記載があったのです!
具体的には、「金融所得課税の一本化」という制度名で提出されているのですが、要望の1つ目には、金融商品の損益通算範囲の拡大について、「特に総合取引所に係るデリバティブ取引については、早期に実現すること」との記述があります。
むむむ? 「デリバティブ取引」には大きな括りで「FX」が含まれますが、「総合取引所に係るデリバティブ取引」というと、店頭FXは含まれず、取引所FXであるくりっく365や大証FXに限られるのでは…?
もしそうであるならば、この制度が実現すると、またくりっく365などの取引所FXが税制面で店頭FXよりも優位に立つことになります。
もちろん、今回、金融庁が提出した「2014年税制改正要望」は、あくまで「要望」ですので、実現するかどうかは不明。ですが、もしこれが実現すると…10月1日(火)からはじまる取引振興策とあわせて、ますますくりっく365にとっては追い風になるのではないでしょうか?