2013年9月19日木曜日

9/19ディップ(2379) 主力の「バイトルドットコム」が好調で、ディップの今期はすでに2度目の上方修正。3度目もあるか

インターネット求人情報サイトを運営するディップの今2014年2月期は、増益幅がさらに拡大する見通しだ。同社は7月10日の第1四半期(13年3~5月期)決算発表時に続き、9月13日に今期2度目の上方修正を発表した。

 主力事業のアルバイト求人情報サイト「バイトルドットコム」が、機能拡充や積極的な広告宣伝の効果で媒体力がアップ。求人広告の応募率が高まったことで、顧客企業が増加している。また、アベノミクスによる景況感改善も求人広告数の増加につながったようだ。さらに、第2の柱に育成中の看護師紹介サービス「ナースではたらこ」が立ち直ってきたこともあり、再度の上方修正に結びついた。

 「ナース」は、医療機関に転職を希望する看護師を紹介することによる成功報酬型のビジネスモデルだが、転職を決めたはずの看護師の辞退や、転職したものの早々の退職(成功報酬を返金する)の率が想定を上回っていた。このため第1四半期決算発表時には「バイトル」が上振れ、「ナース」が下振れで全体を上方修正したものの、力強さに欠けていた。ただ、第2四半期(13年6~8月期)に入ってから「ナース」も改善している。

 ネットビジネスらしく、同社の粗利益率は80%台後半と高い。一方で、多額の広告宣伝費を投入するため、この変動で営業利益額は上下する。第1四半期は過去最大の広告宣伝費を投下したが、前述のように媒体力がアップしていることから第2四半期は大きく削減し、そのことも利益が上振れる要因となった。

 7月、今回とも通期予想の上方修正幅は、上期(13年3~8月期)の上方修正幅とほぼ同じ。つまり、下期(13年9月~14年2月期)予想は据え置いている。現状の「バイトル」の勢いと「ナース」の立ち直りを考えると、通期がもう一段上振れてもまったくおかしくない。

 にもかかわらず下期予想を据え置いているのには、いくつか理由がある。

 まず、もともと下期偏重の利益計画であること。上下の利益アンバランスは主に広告宣伝費の上下配分によるのだが、同社の冨田英揮社長の性格から考えると、利益が上振れする場合、先行投資的に広告宣伝費を上積みすることが考えられる。また、高め予想をブチ上げて下方修正してきたここ数年の反省から会社側が保守的になっているという面もある(これは「会社四季報」予想でも同じ傾向がある)。

 ただ、現状の求人市場の環境を考えると、少なくとも今期中は無理に広告宣伝費を増額しなくても「バイトル」の好調は続くと考えている。むしろ、あまり応募率が高くなりすぎると掲載期間が短縮されるマイナスもある。よって、東洋経済としては表記のように今回の会社予想よりも若干高い利益を予想している。