2013年10月28日月曜日

リクルート株上場なら、いくらの含み益?

日本の株式市場が依然冴えない中、市場関係者の間で大きく注目されているIPO(新規株式公開)がある。「リクルートホールディングス」だ(10月1日にリクルートから商号変更予定)。峰岸真澄社長が6月の株主総会で言及した通り、すでにリクルートは、株式上場の準備に入っている。早ければ来2013年度にも実現する可能性が高い。

求人広告から出発したリクルート。かつてバブル期の1988年にリクルート事件が起こり、時の竹下登政権(自民党)は事件の余波で退陣した。が、リクルート自身は、その後も新規事業を次々生み出す。求人情報誌は求人サイト「リクナビ」に変わり、ジャンルも「SUUMO」(住宅情報)、「ゼクシィ」(結婚情報)、「ホットペッパー」(飲食店情報)などに拡げていった。

何より今、市場で注目されているのが、非上場であるリクルート株の“値打ち”だ。そこで東洋経済オンラインでは、12年3月末でリクルート株を保有している企業について、最新の有価証券報告書をもとに調べてみた。詳細は以下の通りだ。

■各社のリクルート株の保有状況

リクルートは92年に創業者の江副浩正氏がダイエーに持ち株を売却。一時ダイエーが3分の1強を握る大株主になったが、00年にリクルートが自社株として買い戻した。その後は安定株主作りのため、順次、取引先などに譲渡していった。印刷会社は情報誌印刷の発注先として、テレビ局や広告代理店はリクルート自身の商品の広告を流す先として、大口の取引がある。
各社の取得時期はまちまちで、1株当たり株価はあくまで最新の持ち株数で割った平均価格である。なお、東京電力は福島原子力発電所事故の巨額賠償に伴い、保有していたリクルート株全株を11年9月までに売却した模様だ(リクルートが自社株買いしたと見られる)。

表によれば、いずれも取得価格は数十億円から100億円台。1株当たり株価を見ると、大日本印刷などは取得時期が94年のため(その後順次買い増し)、2000~3000円台と低い。一方、電通や日本テレビなどのテレビ局・広告代理店は、07年から08年にかけてリクルートと互いに持ち合う形で取得しており、一律9000円になっている。
来期、リクルート株が上場すれば、当然、各社ともに多額の含み益を持つことになる。市場関係者によれば、時価総額は1兆円になるとも見られており、リクルートの現在の発行済み株数6013万株で割れば、単純計算で1株1万6631円だ。新株発行を伴うため、実際にはもう少し低くなる可能性はあるが、1割増資したとしても、1万5119円。今の簿価よりは相当高い。各社とも多額の含み益になる計算だ。株数も多く、政策的に保有していることから、すぐ市場で売却することはないと思われるが、各社の財政を相当潤すのは間違いない。
 ・直近1年間の有価証券報告書より リクルート株保有リスト2012-09-09

・大日本印刷............320万株.....3025円.....96.8億 
・凸版印刷..............320万株.....2566円......2.13億 
・三井物産..............300万株.....5602円....168.08億 
・電通..................300万株.....9000円....270億
・NTTデータ..........155万株.....7322円....113.5億 
・日本テレビ放送網......111.1万株...9000円.....99.99億
・王子製紙...............90万株.....1140円.....10.26億
・図書印刷...............90万株.....1171円.....10.54億 
・博報堂D.HD..........60万株.....9000円.....54億
・野村総合研究所.........60万株.....6800円.....40.8億
・日本製紙...............46万株.....1904円......8.76億 
・新日鉄ソリューションズ.45万株.....8500円.....38.7億 
・大王製紙...............30万株.....9500円.....28.5億
・フジメディアHD.......30万株.....9000円.....27億 
・シーエーシー...........30万株.....6800円.....20.4億 
・テレビ朝日.............26.6万株...9500円.....25.27億 
・共同印刷..............10万株.....1120円......1.12億 
・IIJ.................5万株.....9500円......4.75億 
・トランスコスモス........5万株.....9500円......4.75億 
・クイック...............1万株.....9250円......0.925億 

取得金額がべらぼーに安く、株数も膨大なのは3861王子製紙と7913図書印刷の2社。但し、発行株式数は7913の方が圧倒的に少ない。
2012年8/25号の東洋経済の「リクルートの正体」という大特集号を見ると、リクルートが上場すれば類似企業のPERから類推すると(17倍)2万円が適正だという。
上記数値が正しいとすれば、7913の含み益は169億円に達する ことになる。

また、「リクルート上場成功は証券界の”必須目標”」とある。
リクルートはアベノミクス第二幕の目玉にもなる逸材である。