2013年10月28日月曜日

新株価指数、ROE軸に銘柄選定 日経と日本取引所が骨子

 日本経済新聞社と、日本取引所グループ、東京証券取引所は30日、共同で開発を進めている新株価指数の骨子を発表した。日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)と異なり、企業の財務指標を使って指数の構成銘柄を選び出すのが最大の特徴だ。

 中核となる指標に経営効率の高さを測るうえで国内外の投資家が着目する自己資本利益率(ROE)を採用する。コーポレートガバナンス(企業統治)への取り組みなど定性的な要素や市場での売買代金なども銘柄選定に取り入れる方針。新指数は時価総額方式とし、東証が算出・配信する。

 構成銘柄数は現時点では未確定。市場統合で3400社を超える上場社数となった東証銘柄の中から、500銘柄を上限に決める。指数の名称や銘柄選定ルール、具体的な構成銘柄など新指数の詳細を秋に発表し、年内に算出を開始する。

東証の新株価指数 狙いは成長企業選び 投資促す
東京証券取引所は年内に東証株価指数(TOPIX)と並ぶ主要な株価指数を新しく作る。企業の収益力に着目した指数で、国内外から投資マネーを呼び込むことを狙っている。その仕組みと狙いをまとめた。
  新指数を導入する狙いは。

  新指数は、収益力を物差しに東証1部上場企業から300~500社を選抜して作られる。企業名は公表されるため、成長力をより重視した経営を促す効果が期待できる。
  企業を選ぶ基準は。

  自己資本をどれだけ効率良く使って利益を上げているかを示す自己資本利益率(ROE)などを軸にした基準をもとに選ぶ。その対象企業の時価総額の合計がどれだけ増減したかを指数化する。
 ROEが高い企業は一般的に株価が値上がりしやすい。新指数は成長力があって、値上がりが期待できる株に投資したいという投資家の期待に応える狙いがある。SMBC日興証券の太田佳代子氏も「日本企業にROEを重視した経営を促す契機となり、海外投資家の日本株への評価が高まる可能性がある」と語る。

  TOPIXや日経平均株価との違いは。

  TOPIXは新指数と同様に、対象企業の時価総額の合計がどれだけ増減したかを示す。東証1部に上場する全銘柄(約1700社)が含まれるため、市場全体が活況を呈しているかどうかを測るのには適している。だが、株価は低いのに発行済みの株式数が多いために時価総額が大きい、重厚長大型の製造業や金融業の株価の影響を受けやすいという欠点がある。こうした企業の成長力は必ずしも高くない。一方で、資本金が少なくて時価総額は小さくても成長が見込める企業の動きは反映されにくく、投資の目安にしにくい。

 TOPIXにはTOPIX コア30などの指数もあるが、時価総額の大きさなどをベースに30社を選んでいるため「TOPIXのミニ版」と言われ、成長力のある企業の時価総額の動きは見えにくい。日経平均株価は225銘柄の企業の株価を一定の比重をかけて算出するため、企業の収益力の高さを反映しているとは必ずしも言えない。

  新指数は定着するか。

  日本の主要企業のROEの平均は6%程度で、10%台半ばの欧米の主要企業に比べて低い。「日本企業は雇用を維持するといった持続性を重視してきた」(一橋大学の伊藤邦雄教授)ためだ。投資家が新指数に魅力を感じて、定着していくには、企業がROEを底上げする取り組みが求められることになる。
(引用元:2013年4月26日  読売新聞)


新株価指数の組入れ銘柄を先回り買いする方法
新株価指数の組入れ銘柄を先回り買いする方法
東京証券取引所と日本経済新聞が5月に新しい株価指数を共同で開発すると発表した。年内に算出が開始される予定のこの新指数、細かい部分はまだ明らかにされていないが、経営効率の高さを見るうえで海外の投資家らが重視しているROE(自己資本利益率)や、流動性の目安となる時価総額などをもとに銘柄を選定することが決まっている。この指数に組み入れられる銘柄を投信が買ってくる前に先回りして買う作戦を紹介しよう。

● 国内外の投資信託に組み入れられる可能性が大、

外国人投資家も買ってくるROE10%超を狙え!

ROEは、株主から集めたお金(自己資本)で、どれだけ利益をあげているのかを示す指標で、数値が大きいほど成長性が高いことを意味する。つまり、より成長性の高い銘柄だけをピックアップして新指数を構成し、日本株の潜在的魅力をアピールすることで、海外からの投資マネーを呼び込むことを狙っているのだ。

「新指数の構成銘柄に選定されれば、外国人投資家から注目され、株価に勢いが出る銘柄も現れるでしょう」と語るのは、金融工学を駆使した情報サービスを提供するクォンツ・リサーチ代表の西村公佑さん。

外国人投資家が注目すれば、選定された銘柄が海外の投資信託や年金、保険などの投資対象に組み入れられ、取引が活発化する期待も大きい。また、国内の投資家の間でも、ROE重視の観点から銘柄を選別する動きが広まり、指数に選定された銘柄が買われやすくなるメリットもある。