2013年10月28日月曜日

10/28株急反発、上昇継続には疑問の声も 市場の見方

 28日の東京株式市場で日経平均株価は前週末比307円高の1万4396円と大幅に反発した。前週末に398円安と大幅に下落したが、その下げ幅の77%を取り戻した格好だ。連日の乱高下となった日本株だが、今後の見通しはどうか。3人の市場関係者に聞いた。

「上昇継続には疑問、米緩和長期化なら円高が重荷に」

インベストラスト代表取締役 福永博之氏

 日経平均株価の急反発は、前週末の大幅な下落を受けた反動による買い戻しが中心だったとみられる。外国為替市場で円相場が1ドル=97円台後半と前週末に比べ円安・ドル高になったのも買い安心感につながったが、為替相場は今後円高圧力が高まりかねず、日本株の重荷になる。きょうの上昇が継続するかには疑問がある。

 30日には米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を発表する。声明で量的金融緩和策の強化などに言及すれば、米国の金利低下が加速し、為替市場では円買い・ドル売りが強まる。その場合、日経平均は週内にも1万4000円近辺まで再び下落することも考えられる。30日発表の10月のオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)全米雇用リポートの発表も、米政府機関の一部閉鎖の影響を見るために注目だ。

日本企業の4~9月期決算の発表が相次ぐ。想定為替レートは対ドルで95円程度に設定している企業が多い。円高・ドル安が進むと、企業業績の上振れ期待は後退するため、株式市場で売りが増えかねない。
 日経平均を日足チャートでみると5日移動平均線が25日移動平均線を上から下に突き抜ける手前で、テクニカル分析でも短期的に売り圧力が強くなりやすい。


「年内1万6000円超えも、米国株に比べ割安感」

SMBC日興証券株式調査部部長 西広市氏

 28日の日経平均株価は前週末比307円高と大幅に反発した。前週末の米国株高や外国為替市場での円高一服を好感した買いが入ったとみている。米S&P500種株価指数は過去最高値を付けており、米ダウ工業株30種平均も過去最高値に迫っている。対照的に日本株の割安感が浮き彫りになってきた。米国株の上昇基調が続けば、出遅れを取り戻す買いが日本株にも及んでくるだろう。5兆円規模の安倍政権の経済対策や米国の経済指標の好転などを受けて、日経平均は年内に1万6000円を上回ることは十分に考えられる。

 コマツは28日取引終了後に2014年3月期の業績予想の大幅な下方修正を発表した。同業の米キャタピラーが23日に業績を下方修正しており、コマツの株価もある程度織り込みが進んでいる。今後、株価が大きく下げることはないとみている。


「一進一退続く、買い材料乏しい」

松井証券シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎氏

 きょうの日経平均株価の上昇は、前週末に急落した反動による買い戻しが主因だ。上昇幅は307円と前週末の下落幅398円の範囲内で、あす以降は乱高下は落ち着くとみている。もっとも、日経平均が1万5000円を超えるような買い材料には乏しく、当面は一進一退のレンジ相場が続くだろう。下値のメドは1万4000円程度とみている。個人投資家の売買動向をみると、上値に近づくと売りが増えており、積極的に上値を追う様子はみられない。30日の米FOMCの結果や、10月の米雇用統計の発表など米国の重要イベントが過ぎるまで様子見ムードとなりそうだ。

 2013年4~9月期の決算発表が相次いでいるが、結果はまちまちといった印象。通期見通しの上方修正もあれば、下方修正の企業も目立ち、株式相場全体を押し上げるには力不足となっている。きょうの大引け後にはコマツが14年3月期の連結業績見通しを下方修正した。いったん売りが膨らむことが考えられるが、今月下旬に米キャタピラーが発表した7~9月期決算の減益と12月期の見通し下方修正や、新興国経済への懸念も高まっていたことから、驚きはさほど大きくない。
(引用元:日経QUICKニュース)