「共通ポイント」とは、さまざまな業種の企業がそれぞれ独自のポイント制度を運営するのではなく、1つ(共通)のポイントを付与したり、使ったりするポイント制度のことです。
言葉で書くとわかりにくいのですが、「共通ポイント=TポイントやPontaポイント」といえば「あー、あれね」と理解できる方も多いのではないでしょうか。どちらも、コンビニやガソリンスタンド、ファミレスなど、さまざまな業種の企業が同じポイントを利用していることがわかると思います。
企業のポイント制度の方針は「囲い込み」から「相互送客」へ
ひと昔前までは「ポイントの発行=顧客の囲い込みのため」でした。つまり、自分の店舗をよく利用してくれる人にサービスとしてポイントを提供し、その人が「ポイントが貯まるから(使えるから)」と、自然とその店舗を利用する頻度が高くなることを狙っていたわけです。
しかし、共通ポイントを使う(共通ポイントに加盟する)場合、その効果は小さくなります。なぜなら、例えばコンビニで貯めたポイントを他店で利用される可能性も高く、共通ポイントの場合は顧客を囲い込む意味が薄くなるからです。
では、なぜ企業は共通ポイント制度に加盟するのでしょうか?
実は共通ポイントの一番の目的は「共通ポイント=さまざまな企業が相互送客のために利用するもの」なのです。
数百万人から数千万人の利用者がいる企業では、それ以上のお客様を増やすのは非常に大変です。しかし、全く違う業種のお客様を相互に誘導することで、一気に利用者を増やすことができる可能性があるのです。
例えば、Tポイントの場合、ファミリーマートでTカードを提示して、支払後にレシートを受け取ります。そのレシートに、エクセルシオールカフェや牛角などのクーポンが付いてくることがあるのを知っていますか? ファミリーマートに来たお客様を、同じTポイントの加盟店であるエクセルシオールカフェや牛角に誘導しているのです。
来年秋から楽天が新規参入!「共通ポイント」の覇権を争う動きが激化
この「共通ポイント」の動きが、最近活発になってきています。
まず、2013年7月1日にYahoo!のポイントプログラム「Yahoo!ポイント」が廃止され、「Tポイント」に統合しました。「Yahoo!ショッピング」でもTポイントが貯まり、「Yahoo!公金支払い」を使えば、Tポイントで税金や水道料金などを支払うことも可能となっています。
また、2014年秋にはオンラインショッピングモール国内最大手の楽天が共通ポイントサービスに参入すると発表しています。
「Rポイントカード」を発行し、「楽天スーパーポイント」を街中でも利用できるように加盟店を募り、Tポイント、Pontaポイントの2大共通ポイントに挑みます。現時点でのRポイント加盟店は住宅メーカーのタマホームのみですが、2013年9月17日、コンビニ業界4位のサークルKサンクスが「Rポイントカード」のポイント制度に参加すると表明しました。
これまではネットの世界だけで利用されていた楽天スーパーポイントが、満を持してTポイントやPontaポイントに対決を挑むことからもわかるように、これからは共通ポイントがポイント業界の主役になるのです。
では、まずは共通ポイントの大手、TポイントとPontaポイント、それに加えて来年「共通ポイント争い」に参入するRポイントを比較してみましょう。
TポイントとPontaポイント、そして来年秋に「共通ポイント争い」に参入するRポイントの3つを比較してみましょう。
■3つの共通ポイントを徹底比較!
Tポイント | Pontaポイント | Rポイント | ||
運営会社 | Tポイント・ジャパン | ロイヤルティ マーケティング | 楽天 | |
開始時期 | 2003年10月 | 2010年3月 | 2014年秋 | |
還元率 | 100円または200円 につき1ポイント | 100円または200円 につき2ポイント | 不明 | |
ポイントの価値 | 1ポイント=1円 | 1ポイント=1円 | 1ポイント=1円 | |
会員数 | 4677万人(※1) | 5703万人(※1) | 不明 | |
加盟店数 | 103社 6万店 | 69社 2万2400店 | 2社 6400店(※2、3) | |
主 要 加 盟 店 | コンビニ | ファミリーマート | ローソン | サークルKサンクス |
ガソリンスタンド | ENEOS | 昭和シェル | ― | |
DVDレンタル | TSUTAYA | ゲオ | ― | |
オンライン ショッピング モール | Yahoo!ショッピング | なし | 楽天市場 | |
ポイントが貯まる 主な クレジットカード | Yahoo!JAPAN JCBカード | Ponta Premium Plus | 楽天カード | |
Tポイントの会員数は4677万人、Pontaポイントの会員数は5703万人と驚くような人数です。これはつまり、日本国民の3人に1人はTポイントやPontaポイントを利用しているということです。
この巨大な共通ポイント制度が相互送客を行うわけですから、共通ポイント制度への参加が企業にとってメリットがあることは想像しやすいと思います。
では、私たち利用者にとってのメリットとは何でしょうか?
共通ポイント+クレジットカードでポイント2重取りを狙え!
TポイントやPontaポイントの通常のポイントカードは発行手数料が無料、年会費も参加費もかかりません。加盟店で物を購入した際に、100円につき1ポイント付与され(200円毎の場合もあり)、1ポイント=1円として使えますので、購入代金の1%が還元されます。提示するだけで1%分戻ってくるわけですから、共通ポイントを使わないのはとてももったいないですね。
この「提示するだけでポイントがもらえる」という共通ポイントの特徴が非常に重要で、ここから先がポイントを「上手に貯められるかどうか」の分かれ道になります。
例えば、ファミリーマートで500円の商品を買ったとしましょう。
AさんはTカードを提示し、現金で500円支払いました。この場合、5Tポイント(5円分)を獲得することができます。
一方、Bさんも同じ商品を買いました。まずは、Aさんと同じようにTカードを提示し、同じく5Tポイント(5円分)を獲得しました。しかし、購入代金はクレジットカードの「Yahoo!JAPAN JCBカード」で支払いました。「Yahoo!JAPAN JCBカード」は、支払時に100円につき1Tポイントが付与されますので、ここでも5Tポイント(5円分)を獲得できます。
現金で支払ったAさんよりも、クレジットカードで支払ったBさんの方が5円分得しているわけです。共通ポイントも使わず、クレジットカードも使わない場合と比べると10円分の違いが出てくるわけです。
このように共通ポイントと、クレジットカードや電子マネーを上手に組み合わせることで、どんどんポイントが貯まっていきます。
次回以降は、それぞれの共通ポイントを上手に活用する方法、それぞれのポイントが貯まりやすいクレジットカードを紹介したいと思います。
◆共通ポイントが貯まりやすいクレジットカードはコレだ!
【Tポイントが貯まりやすい!】 | ||
■Yahoo! JAPAN JCBカード | ||
還元率 | 1% | |
発行元 | Yahoo!カード | |
国際ブランド | JCB | |
年会費 | 初年度無料、2年目以降1312円 (20万円以上で次年度無料) | |
家族カード | あり(初年度無料、2年目以降420円。本会員が年会費無料の条件を満たせば家族会員も無料) | |
ポイント付与対象の 電子マネー | ― |
【Pontaポイントが貯まりやすい!】 | ||
■Ponta Premium Plus | ||
還元率 | 1.0~2.0% | |
発行元 | ジャックス | |
国際ブランド | JCB | |
年会費 | 初年度無料、2年目以降2100円 (5万円以上で次年度無料) | |
家族カード | あり(初年度無料、2年目以降420円。本会員が年会費無料の条件を満たせば家族会員も無料) | |
ポイント付与対象の 電子マネー | モバイルSuica、ICOCA |
【楽天スーパーポイントが貯まりやすい!】 | ||
■楽天カード | ||
還元率 | 1% | |
発行元 | 楽天カード | |
国際ブランド | VISA、Master、JCB | |
年会費 | 永年無料 | |
家族カード | あり(年会費無料) | |
ポイント付与対象の 電子マネー | モバイルSuica、ICOCA |