2013年8月26日月曜日

8/26波乱含みの薄商い相場、QE3縮小観測めぐり依然不安定

市場の重要イベントが相次ぐ9月入りを目前にして、週明けのマーケットでは様子見気分が広がった。
(以下引用)
最大の注目点である米量的緩和策をめぐる不透明感は解消されておらず、早期縮小観測が強まれば株安・円高材料にされる可能性がある。日本株市場では信用買い残が高水準で、下げに拍車がかかりやすい。足元の世界経済は底堅く、昨年までのように全面的なリスクオフが進むとはみられていないが、薄商いのなかでは短期的な相場変動が増幅されやすく、波乱含みの状況だ。  

<市場を惑わす米住宅指標>
週明けの東京市場で、前場の日経平均 は12円安と終値こそ小動きだったが、プラス圏とマイナス圏を行き来するなど、依然として安定感に賭ける展開だった。日銀の「バックアップ」がある円債市場は相変わらず落ち着いているものの、ドル/円は小幅ながら日本株に連動し、小刻みに上下している。
マーケットが安定しないのは、最大の関心事である米国の量的緩和第3弾(QE3)の縮小が依然としてはっきりしないためだ。7月30─31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録でヒントは得られず、高官発言もまちまち。勢い経済指標への注目度が高くなる。

その経済指標も強弱入り乱れており、市場の混乱に拍車を掛けている。米住宅関連指標では、7月の新築住宅販売件数が前月比13.4%減の年率39万4000戸で、9カ月ぶりの低水準となったが、7月の米中古住宅販売戸数は前月比6.5%増の年率539万戸と2009年11月以来の高水準であり、方向感が全く逆だった。

規模は中古住宅の方が大きいが、データをカウントするタイミングは、中古住宅は所有権の移転時点なのに対し、新築住宅は契約時点と早く、マーケットでは、新築住宅の方をより足元の動きを示すデータとして受け止めている。

しかしながら、新築住宅販売の現況と将来の期待値のほかに、家を建てる相談で来店する客数などを指数化することから先行指標としてみられているNAHB/ウエルズ・ファーゴ住宅建設業者指数の8月は約8年ぶりの高水準であるなど、最近の住宅関連指標は市場参加者を惑わすデータとなっている。

米住宅市場は長期的には改善方向で、9月17─18日のFOMCでQE3縮小が決定されるとの見方も多い。米金利は上昇傾向にあるが、住宅ローン水準自体としては依然低水準であり、賃料とのかい離も大きいため、住宅取得のインセンティブはまだ高いためだ。住宅価格も上昇してきているほか、雇用環境も改善している。

シティグループ証券チーフエコノミストの村嶋帰一氏は、9月のQE3縮小決定の可能性は依然高いとの見方を示したうえで「12月のFOMCで決定となれば、3か月間、マーケットに不透明感を残したままになる。市場が不安定なままでは波乱の芽も小さくならない」と話す。

23日の米市場は7月の新築住宅販売件数の悪化を、QE3縮小の可能性後退ととらえ、米株は上昇、金利は低下した。経済指標の悪化をリスクオン材料に受け止めるのは、マーケットが過剰流動性を原動力にする「金融相場」からまだ抜け出せていない証拠でもある。

  このため、住宅など米経済指標が今後、改善を示していけば、QE3縮小観測の強まりとともに、株安材料として受け止められる可能性がある。その際、米金利が上昇すればドル高・円安要因だが、米株安が進む中では、日本株の積極的な買い材料にはなりにくいとの見方が多い。

<高水準の信用買い残>
日本株市場も方向感に乏しい展開が続いているが、薄商い相場のなかで高水準の信用買い残が波乱要素として意識されている。

東京証券取引所がまとめた8月16日申し込み現在の2市場信用取引現在高(概算)は2兆9992億2500万円。前週比209億4500万円減少したが、直近のピークである5月31日時点の3兆1719億円からほどんど減っていない。昨年11月22日時点は1兆2052億円だった。

「下期の株価上昇期待を捨てきれない投資家が多いとみられ、信用買い残がなかなか減らない。上昇すれば戻り売り、急落すれば投げ売りになる可能性がある。マーケットのボリュームが減少しており、吸収するのが難しくなっている」と証券ジャパン・調査情報部次長の野坂晃一氏は指摘する。

東証1部売買代金は今月12日以来、2兆円割れの水準が約2週間続いている。19日には1兆2566億円の今年最低を記録した。QE3縮小観測に揺れる海外勢は様子見、国内勢は依然としてリバランス中心だ。薄商いのなかで、短期筋の仕掛け的な売買が信用取引の売り戻しを巻き込んで値幅を拡大させる可能性もある。
(引用元:ロイター)