ソーシャルショッピングサイト「バイマ(BUYMA)」の絶好調が続く、運営元のエニグモ。ユーザーである会員の数はこの4月末時点で129.9万人と前年同期比5割増に近いペースで増えている。サイト上に商品を出品する個人バイヤーの数も着実に増え、手数料の拡大が続いている。今2014年1月期(13年2月~14年1月)の営業利益も期初計画の8億2700万円(前期比38%増)を上回る勢いだ。
■出品数拡大へ決済を短縮、タブレット利用も拡大狙う
バイマのビジネスモデルは、個人バイヤーにサイト上へ商品を出品してもらい、それをユーザー (会員)が購入した際に、それぞれから5%程度の手数料をもらうというもの。バイヤーとしては、欧米など海外にいる駐在員の家族などを想定。バイヤーが現地で見つけた商品を出品し、ユーザーの注文を受けてから仕入れるため、売れ残りリスクは低い。ただ、注文から商品が買い手に届くまで日数を要するため、バイヤーにはきめ細かい連絡などを求めている。
日本では手に入りにくい商品が並ぶバイマは、クチコミを中心に人気を高め、四半期ごとに会員数が4割増のペースが続くなど、まさに絶好調。この秋に向けては財布、バッグなどの品ぞろえを強化すべく、専用コーナーの設置も始まった。さらに、単価の高い冬物が並ぶ下期(2013年8月~14年1月期)には売り上げが膨らみやすいことから、足元での増益基調に拍車が掛かりそうだ。
その運営元であるエニグモが力を入れているのが、バイヤーによる出品数の増加。会員数が増えて、サイトに買いに来ても、品薄では利用者が離れてしまう。バイヤーについても、その数だけが増えればいいというわけではなく、人気のあるバイヤーに、より多く出品してもらう必要がある。
そこでエニグモが手を打ったのは、決済サイクルの短縮化だ。バイマでの取引は後払い決済が原則。買い手は決まっていても、商品を買って梱包・発送し、代金が支払われるまでは、バイヤーが売掛債権を抱えた状態だ。このため新たな商品の買い付けにおのずと限界がある。そこで次の仕入れ資金が早く手に入れられるように決済期間を見直し、出品を増やしてもらう環境を整えたのだ。その効果は早くも具体的に現れているようだ。
また、スマホ向けサイトのデザインを昨年修正したのに続き、この6月にはPCとタブレット向けサイトのデザインを修正。拡大表示機能でより見やすく、検索機能の強化でより使いやすく変えた。昨年のスマホ向けデザイン修正は、その後のスマホ経由の利用者増に大きく貢献した。今回のデザイン修正では特に、現在は取引の1割に過ぎないタブレットからの利用を3割以上へ引き上げる狙いもある。
足元のバイマ事業が絶好調に推移する中で、エニグモが次に狙うのは、海外市場、そして中古市場である。
■バイマ英語版が7月始動
エニグモは昨年12月、米国のソーシャルサイト「カブードル(kaboodle)」を運営するイメージネットワーク社に資本参加。アフィリエイト収入が収益源のカブードルはそのまま事業を継続することにしたうえで、米国やカナダ、オートラリア、英国など英語圏を中心に200万人という同社の会員向けに、日本での経験で磨いた決済機能をつけた、英語版バイマといえる「アヴェニューK(AVENUE・K)」を立ち上げ、7月から稼働を始めた。
アヴェニューKは、まずはカブードル社の会員向けのみのサイトとして、登録を受け付ける。ここには、今年の株主総会で共同CEOの座を退いた田中禎人氏も立ち上げに尽力しているという。
同じタイミングで、韓国でもバイマの始動が発表された。6月に増資した現地子会社のエニグモコリアで韓国版バイマの開発をスタート。年内の稼働を目指すという。グローバル展開の動きも本格化しそうだ。
■中古市場に向けて新たな仕掛けも
一方、エニグモは中古市場(USED市場)についても、以前からさまざまな仕掛けをしてきた。ビンテージもの、デッドストックものなど、安さより稀少価値を訴える品そろえを試みたものの、USEDの本格展開にはまだ至っていなかった。
そこでエニグモが注目したのが、これまで同社が運営してきたファッション写真共有アプリ「stulio」だ。Stulioは会員数7万7000人、月間PV(ページビュー)数が1500万PV(ページビュー)に達しながら、アフィリエイト(成果報酬型広告)収入もなく、そろそろ収穫期の段階を迎えていた。
エニグモはこのstulioを切り離し、G
STYLE
ENTERTAINMENT(Gスタイル)との共同出資(エニグモは14%出資)で、株式会社STULIOを設立した。Gスタイルと組んだのは同社の人的ネットワークが魅力だったようだ。Gスタイルはファッションモデルの出岡美咲などが所属するほか、さまざまな媒体の企画・プロデュースを行う企業であり、109のバイヤーやモデルなど、10代から20代のカリスマたちとのネットワークを持つ。そうした人たちにstulioで情報発信してもらおうというものだ。
USEDへの取り組みでは、エニグモは今まで試行錯誤を続けてきた。今回、Gスタイルと共同で設立したSTULIOでは、若い世代のカリスマたちが身につけた衣裳をstulio上にアップしてもらい、それが買える仕組みを構築しようというものだ。
もともと、バイマの売れ筋を人気モデルやタレントが着用したものだけに、これは切り札となる可能性がある。エニグモはこうした仕掛けにより、USED市場でも打って出る構えだ。