株式市場でエクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)が目立ってきた。インターネットイニシアティブ(IIJ)は2日に公募増資などで最大187億円を調達すると発表。3日には電通が1000億円規模となる公募増資と自社株の売却を決めた。株高を生かした増資が続く可能性がある。既存株の希薄化など相場には重荷となるが「需給環境は良好で十分に吸収できる」(国内証券)との声がある。
4日の日経平均株価は36円安と小幅に続落。節目の1万4000円を挟む一進一退となった。円相場の下落一服やエジプト、ポルトガルの政情緊迫など懸念材料はくすぶったものの、底堅さを保った。
この日も関心を集めたのが「ファイナンス銘柄」の動き。上場2日目のサントリー食品インターナショナルは前日比2%高の3200円で終え、公募・売り出し価格を上回る展開が続いた。市場から約3900億円を吸収する今年最大の新規株式公開(IPO)だったが、ひとまず無難にこなしたことに胸をなで下ろす市場関係者は多い。
電通は9%安と大幅反落。朝方に一時12%安まで売られた後はやや下げ渋った。最大1100万株の新株発行と同時に保有する自社株2900万株も売り出し、過去の大型M&A(合併・買収)時に借り入れた資金の返済に回すという。SMBC日興証券の前田栄二シニアアナリストは投資家向けメモで「今後の金利上昇リスクなどを勘案すると調達予定額、タイミングともに納得性は高い」と評価した。
実際、4日の株価は希薄化分ほどは下げなかった。2014年3月期の予想1株あたり利益(EPS)は、金庫株放出を考慮したベースで計算してみると77円から66円に減る。希薄化率は14%で、株価の下落率はこれより小さかった。同様にIIJも、増資発表の翌3日の下落率は希薄化分ほどには広がらず、4日は反発した。
みずほ証券の稲泉雄朗投資情報部長は「順調に消化している印象で、全般に投資意欲が堅調な表れ」とみる。電通が公募増資に動くのは上場来初。発表直後の値動きだけで良しあしを議論するのは難しいが、成長資金を供給する場としても株式市場が再び機能し始めた可能性がある。
株価上昇を背景に「証券会社が企業に対して増資などの提案や働きかけを強めている」(市場関係者)との声も聞かれ、今後もエクイティファイナンスは続く可能性がある。順調に消化していくためには「全体の売買代金が細らないことが重要」(立花証券の平野憲一顧問)になる。