1日の東京株式市場で日経平均株価は3日続伸。終値は前週末比175円18銭(1.3%)高の1万3852円50銭と5月29日以来ほぼ1カ月ぶりの高値水準を回復した。
円相場の下落や日銀の企業短期経済観測調査(短観)を好感した買いが先行。中国の製造業景況感の悪化を受けて下げる場面があったが、相場の底堅さを意識した買い戻しが指数先物に入った。中国市場で上海総合指数が下げ渋ったことも買い安心感につながった。東証1部の売買代金は概算で2兆396億円(速報ベース)だった。
株高・円安の短期リバウンド相場が継続している。戻りが急ピッチだったことで、利益確定売りが上値を押さえているが、下値は固くなってきており、反騰ムードは根強い。
6月日銀短観では中堅・中小企業まで景況感の改善が広がっていることが示され、今月の参院選に向けて与党・自民党の追い風になるとみられている。中国経済など外部環境は依然不透明が強く、「業績相場」への移行に時間がかかりそうだが、自民圧勝となれば株高・円安材料になる見通しだ。
<日銀短観は自民党の追い風か>
6月日銀短観では、景況感の改善に広がりが見え、市場の関心を集めた。大企業・製造業DIの改善は、ほぼ想定シナリオ通り。市場関係者が注目したのは、資本金10億円未満の中堅・中小企業まで景況感が改善している点だ。
中小企業では28業種中、23業種が改善。足元の6月だけでなく、9月の先行き見通しも改善した。市場では「景況感の改善が予想以上に速く広がっている」(国内投信)との声があった。中堅・中小企業は、6月短観の回答企業の中で78%を占める。
仕入れ価格判断や借入金利判断などコストは上昇傾向を強めているが、中堅・中小企業の業績見通しは堅調。2013年度全産業ベースでの売上高と経常利益が上方修正されたほか、設備投資計画も増額されている。中小企業・製造業は10.4%と2006年度からの比較で最も高い伸びを示した。
日経平均は前週後半の2日間で843円上昇しており、前場では利益確定売りが先行。日銀短観は株価を押し返すほどには材料視はされなかった。だが、「いよいよ金融相場から業績相場へのシフトが現実味を帯びてくる」(岩井コスモ証券・投資調査部副部長の清水三津雄氏)と、強気な声も出始めた。「海外勢の利益確定売りが出ている」(大手証券株式トレーダー)とされるが、TOPIXは小幅続伸。下値の堅さも目立ってきた。
為替市場では、予想より良好な日銀短観で円売りがさらに進み、ドル/円は99.55円まで上昇して6月5日以来の高値を付けた。「日銀短観で示された景況感の改善はアベノミクス効果ということになるのだろう。さらにタイミングよく、調整一巡で株高・円安へのリバウンド相場に入っている。自民党にとっては参院選に向けた追い風であり、単独過半数を獲得するような圧勝となれば、株高・円安材料になるだろう」と東海東京調査センター・シニアストラテジストの柴田秀樹氏は話す。
<「業績相場」移行には時間必要>
ただ、「金融相場」から「業績相場」への移行には、もうしばらく時間がかかるとの見方も多い。市場では、米金融政策に関する米連邦準備理事会(FRB)幹部の発言に一喜一憂する一方、経済指標などに対する前週の市場反応は、良くても悪くても株買い材料になるなど整合性はなく、市場がまだ「金融相場」の中にあることを示唆している。
新興国の通貨や株価も下げ止まってきているが、FRBが量的緩和第3弾(QE3)の縮小を視野に入れ始めるなか、超金融緩和を背景とした過剰流動性が流入していたリスク資産の価格調整への警戒感も残っている。
中国国家統計局がこの日発表した6月の製造業購買担当者指数(PMI)は50.1と、節目の50を上回った。ただ、前月の50.8からは低下しており、HSBCが発表した6月のPMI改定値は48.2と2012年9月以来、9カ月ぶりの低水準となった。中国の短期金利は低下しているが、景気減速への警戒感が払しょくされたわけではない。
「量的緩和策など非伝統的な金融緩和策は、金利を下げる伝統的な金融緩和策よりも効果や反動が読めない。期待に働きかけるのが、非伝統的な金融緩和策のポイントであるため、伝統的政策より解除や縮小は遅い方がいいのではないか。市場に急かされるぐらいでちょうどいい。市場が嫌気しているうちは、まだ早いということだろう」と三井住友アセットマネジメント・シニアストラテジストの濱崎優氏は指摘。QE3の早期縮小に対する思惑で、マーケットはしばらく不安定な展開が続きそうだとみている。
(引用元:ロイター)