日銀は10、11日に開く金融政策決定会合で、上下に大きな変動を繰り返す金融・資本市場の動向とその影響、対応策などについて幅広く議論を進めると予想される。
(以下引用)
中でも長期金利の急速な上昇は「量的・質的緩和」の効果を削ぐ可能性があり、その対応策として資金供給オペの期間を2年以上に延長することを検討するとみられている。また、輸出と生産の増勢を踏まえ、景気判断を小幅引き上げる可能性が大きい。「黒田緩和」の骨格は変えないものの、効果の浸透具合とその障害要因について、どのような議論が展開されるのか、この先の金融政策の展開を推し量る意味でも注目される。
<不安定化する市場>
足元の金融・資本市場は不安定化する様相を強めている。株式市場では、1万6000円目前まで上昇していた日経平均.N225が6日に一時、1万3000円を割り込んだ。また、外為市場ではドル/円が5日に98円後半まで下落し、一時的な円高傾向への警戒感も出てきている。
政府・日銀では、これまで急ピッチで株高・円安が進行してきたことによる調整の範囲内とみているが、市場変動が長期化すれば、好転している家計や企業のマインドを冷やし、実体経済回復の妨げになることから、経済・物価への影響を入念に点検する。
<過度な金利上昇、緩和効果減殺させる恐れ>
中でも、日銀が注視しているのが長期金利(10年最長期国債利回り)の動向だ。5月に入って一時1.0%に上昇した後、足元では株安などを受けて0.8%台に低下している。
しかし、株価や米金利の動向、コア消費者物価指数(CPI)のプラス圏への浮上など先行きの波乱要因は多く、急激な金利変動や過度な金利上昇は金融緩和効果を減殺する恐れがある。
このため会合では、金利形成の起点となる中短期ゾーンのボラティリティ(変動率)の上昇を抑えることを狙って、債券市場安定化措置として年0.1%の固定金利オペの資金供給期間を現行の1年以内から2年以上に延長することを検討する。
「量的・質的金融緩和」は国債から他資産への運用シフトを促すことを目的の1つとしており、政策意図との整合性の観点などからも慎重に議論する。
< REIT増額、副作用大きくする懸念>
資産買い入れでは、不動産投資信託(J─REIT)の残高が5月末時点で1370億円程度となり、2013年末の計画である1400億円程度に迫っている。しかし、市場規模やリスク量などを踏まえれば、一段の増額は副作用を大きくする懸念がある。
黒田東彦総裁は、異次元緩和によって2%の物価目標を2年程度で達成するために必要な措置はすべて講じたとの見解を示しており、長期国債や指数連動型上場投資信託(ETF)などを含めて現行の資産買い入れ枠を維持する方針だ。J─REITは2014年末には1700億円程度まで残高を積み上げる計画となっている。
<輸出・生産が増勢>
一方、直近で発表された4月分のデータでは、輸出が米国向けを中心に前年比3.8%増と2カ月連続で増加。数量ベースでも減少幅が縮小してきており、海外経済の復調につれて輸出の下げ止まりが明確になっている。
また、鉱工業生産も北米・国内向けの輸送機械がけん引役となり、市場予想を上回る前月比1.7%上昇と5カ月連続の伸びを示した。こうした輸出と生産の改善を主因に、日銀は景気判断の小幅引き上げを検討するとみられる
(引用元:ロイター)